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光学的ミキストリ/Optical Miquiztli from 光学教/Opticism by 中村椋/NAKAMURA Muku

Tracklist
1.光学的ミキストリ/Optical Miquiztli11:18
Lyrics

【とある一部屋の惨状】
抜かりなく煙を吐く鏡
《蛇神》と《金星神》とを目合せ 重畳
血で贖い血を汚す
臥所に転がる酒瓶 雑然

羅の懸かる視界

端午の砌に鯉は鯉を喰い
御代に差し出すキネマは 騒擾
血で賄う色の地獄
寂蒔とした朔風 颯然

時に温情は姦しく
(誼 恨 果ては無く)
屍 足搦み息を吐く
(反り返りつま先立ち虎の肩を噛む)

煙を吐くひと「枯れあがり!」
蛇のひと「押し上がり!」
金星のひと「絶頂!」

啜り泣き「何も知らない」
ひねもす流れる壊劫は滔々
割れた鏡は首を括り
烈日に焼かれ悪臭 索然

並んで垂れる蜘蛛の糸

嫉み 妬み 百度
躄り 躄り 楽土
六界 桎梏 八相
陰に籠って物凄く
  
捩り輪を潜り漫ろ舞う
(上も下も無く……赤い)
あわれ骨が鳴り耳も鳴る
(伸びあがり吊るされた人 傍目に天へ落つ)

遍く光 罪を許すように暗幕のあわいを流る
うたかたの弾ける 懐抱の奔流
あぁ 胎蔵界にあり
(点鬼簿を噛む)
過つ人に 天翔ける人に 不可視境界線の渉る
嫋やかに煌めく天道の掌中
あぁ 双眸を伏せ投地
(「目を開けよ」と啓示) 

【とある雑誌記事】
焼け落ちた家屋で見つかる女の死体が二つと
眼球に鋏を突き立て昏倒した少年
彼らはこの家屋に住む三人家族であり
死体は母親と少年の姉と思われる

姉は炭化しており死因は不明
母の首には紐状の痕と吉川線が見られた
数日後、少年は意識を取り戻したが
視覚と共に当日の記憶をも失っていた

あの日、一家に何が起こったのかは依然として不明

【太陽と月の創造について】
人は水に呑まれ息絶え
蛇と鏡が大地を作る
地底に眠る骨は砕かれ
神の血液で命となる

暗夜の中 神は集い
新しい光の為に犠牲となる神を募る

ホラガイのひと「私が火に飛び込むべき」
腫瘍のひと「私が火に飛び込むべき」

四日の断食の後に

火を前に怖気づく《ホラガイのひと》
彼は太陽にはなれず
月となり夜を照らした

勇敢に身を焦がす人《腫瘍のひと》
彼は太陽と相成り
煌々と人を照らした

太陽のひと「あーらいやいあー あーらいやいあー」
月のひと「あーらいやいあー あーらいやいあー」

【ある物翳で行われた秘め事】
髪に頬に肩に指に震える
鼓動!鼓動!鼓動!鼓動!灼熱!
夥しく禍々しい甘美の
蠱毒!蠱毒!蠱毒!蠱毒!春めく!

【真理】
春も夏も秋も冬も前世現世来世でさえ
命ある限り人は許されることはない
生きる限り罪は続く
忘れようが罪は消えず

人も星も月も花も全て全て全て光
人も星も月も花も全て全て全てが――



【ある思想家と共感者による一幕】
山毛欅の演台に片膝で
(ぽつり こそり 彼は話す)
あかみ押し通り真秀となる
(折り返し上る階を手と手を引き合い)

綾なす光 黄昏の光
ただむきに咲く花も嗤う

麗らかに広がる陽に焼けた石庭
あぁ 世界の端へ
(眼下の堵列)
[は二人に気付きもせず懸命に体を動かしている]

光背を負い
《光学神》は笠木に立ち
寂滅の来る様を語る
赤空に諸手を広げては誘う
あぁ 人を許す深き空の先へ

(あぁ!あぁ!あぁ!)
(怖じ気づく教徒)

嘆きの間に息を吐く人よ
天道は是にあり迷い星が冴える

あぁ!あぁ!あぁ!
(動けぬ教徒)
[を見透かし、許すような表情を見せた彼神は優しく諭す]

ならば生き給え
信じて生き給え
絶叫の中に崩れる《光学神》

そして来る大暗転
発狂する教徒

「見える!」
「光が来る!」
「あれこそが!」

命の窮み

光隧へ


ただ大地は濡れている

Credits
from 光学教/Opticism, released August 8, 2025
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